BROOKSレザーサドル 3モデルの違いをチェック
店頭で頂くご質問で、一番多いのは「どれが座り心地良いの?」
見た目のシルエットも大事ですが、やはり気になるのは痛くないのが良いというところ。
用途やライディングポジションごとに推奨モデルが別れてきますが、簡単にサドルごとの違いを知っていただけるとサドル選びの参考になると思います。
定番の3モデルを並べただけでも形状の違いは一目瞭然。
写真の手前から【SWALLOW】 【SWIFT】 【B17】となります。
サドルの厚みが薄い順に並んでいます。
ロードバイクやスポルティーフなどシンプルなフレーム形状には薄めのサドルがデザイン的には人気です。
それなら薄いサドルだけあれば良いのではないか?
そう思われるかもしれませんが、自転車は乗車時の姿勢が色々とスタイルによって異なるもの。
乗車姿勢やライディングスタイルに合わせ、それぞれの形状にメリットが存在するのです。
平面の大きさが体感を変える
この写真はBROOKSサドルの中で「ど」がつくほどの定番サドル【B17】になります。
BROOKSのエンブレムの上辺り、ちょうどお尻が乗る部分は平面でサドルの端からストンと落ちていくような形状
おおよそ平らな面の最大幅は15cm
平らな状態の紙を指で押してあげれば、すぐにペコっとしなってくれますよね。
このイメージ、革も同じく体重がかかるとしなろうとしてくれます。
合わせて座面も広いのでお尻の形に合わせて変形もしていく成長を遂げやすいサドルと言えます。
しなりも体感できて、馴染みによる変形も起きる。
革の特性全ての恩恵を受けやすいサドルです。
次のサドルは見た目もシャープな【SWALLOW】
このサドルは有効幅の殆どがフラットな面になっており、サドル全幅153mmのうち130mmは平らになっています。
3モデルのうちサドル全体の表面積に対してのフラット面は一番広いサドルで、革の弾力を体感しやすく馴染むのも非常に早いサドルと言えます。
革を変形させて馴染ませるという概念よりも、その素材の特性である弾力性で快適さを体感させてくれるモデルです。
とりを務める最後のサドルは【SWIFT】
なぜSWIFTが最後なのか? それは形の特徴が唯一異なるから。
写真でも分かる通り、全体的にラウンドしています。
革のしなりを出しにくい形状的な特徴を持っています。
平らな紙を押したらとペコっとしなりやすい、と書きましたが今度は山なりになった紙を押してみましょう。
山の外側から推しても張りがあるので押し返されるような力が働きます。
SWIFTサドルの特徴は、まさにその山型から来る張りの強さ。革の弾力よりも馴染ませることで革の変形を呼びお尻の形にあっていこうとします。
ハンモックにも種類がある
BROOKSサドルで言われる「ハンモックサドル」とは?
サドルの先端と後ろ端の両端で革を吊り下げている構造になっていることから呼ばれている呼称です。
ハンモックのイメージ通り、吊り下げられている部分は体重がかかることで素材のしなりを得ることができ、革の弾力を活かしやすい構造と言えます。
これがカーボンや樹脂のベースがあるサドルの場合、しなりが出ない分スポンジ(フォーム)の性能に頼ることになります。
【B17】はサイドにしっかりとした面積のレザーを持ち合わせているモデルです。
体重が上からかかり押し付けられると、一番深さの有る赤丸部分から外へ開こうと力を逃しながら革がしなります。
B17がド定番と呼ばれる理由には革の特徴を最大限に活かした構造であり、その良さを一番体感しやすくバランスの取れたサドルだからと言えます。
【SWIFT】もサイドに深さの有る箇所は存在しますが、B17に比べると明らかに後ろ側に位置しています。
後ろ側の固定鋲との距離が極端に近く、体重をかけても外に開きにくい構造になっています。
デザインと機能が非常にバランス良く取られたサドルで、敢えてハンモックの効果を下げて作られています。
今度は紹介する順番が変わって【SWALLOW】が最後なのは、これだけ構造的な違いが有るから。
見た目にもサイドに革がありません。
より平面的なサドルにすることは、純粋なハンモックのしなりを体感させるためのデザインでありそのための構造になっています。
3つのサドルの中で一番ハンモックの長さが有るのも【SWALLOW】になります。
サドル長を比較してみると
SWIFT / 272mm
B17 / 275mm
SWALLOW / 285mm
と全長自体も長く、そしてハンモックの固定位置サドル先端部分の構造も違ってきます。
サドル先端部分を比較してみると、使用しているパーツにまで違いが有ることがわかります。
左からSWIFT / B17 / SWALLOW の順になりますが、先端部分のテンションボルトと呼ばれるネジの長さがSWALLOWだけ長いものを使います。
この数センチの差が革のしなりを体感するのに大きな違いとなっており、サイド部分の潔くカットされたデザインと相まってハンモックを一番体感できるサドルはSWALLOWといえるのです。
それぞれ違いは見た目だけでなく、そのデザインは乗り心地の特徴となってお尻へ伝わってきます。
簡単にまとめて見ましょう。
革のしなりを体感しやすいランキング
1 SWALLOW
2 B17
3 SWIFT
となります。
逆を言えば、素材を常に伸ばしているということになります。
長い目で見た革の寿命と言い換えるとこのランキングは真逆になります。
お尻が落ち着くランキング
1 SWIFT
2 B17
3 SWALLOW
落ち着くとは、ペダルを漕ぐ時にお尻の位置がバシッと決まりやすいか。
という目線での落ち着くとしています。
SWIFTはしなりにくく、ハンモックも効果を敢えて下げていたりと快適さ有るの?と思われたかもしれません。
骨格に合わせた革の変形と馴染みを体感させるために考えられたこのデザインは、ペダリング効率を考えるとポジションを決めやすく運動性能は非常に高いレザーサドルと言えます。
どのサドルが自分のベストチョイスになるのか?
参考にされつつ、不明点はいつでもお問い合わせください!