BROOKSサドル「B17」を探ってみる 前編

2月 01, 2021

B17サドル

ブルックスサドルを語る上で知っておくべき定番サドル。

B17サドルがなぜコンフォートサドルの定番として愛され続けているのか、その背景を色々な角度から探って見たいと思います。

 

100年以上愛されるロングセラー商品

上の画像は1899年のブルックスカタログ

日本でいうと明治32年日清戦争直後の頃です、更に10年ほど遡る1888年にはB17サドルがすでに発表されたというのですから自転車の進化とともに時を刻んできた歴史あるサドルなのです。

これだけ長い歴史を持っているということは、多くのサイクリストから支持され続けてきたという証になりますね。

毎年、もしくは2年毎に外観を変え新しいものとして常に変化を求める今の時代に、100年以上同じ製法で、そして当時の機械を修理しながら今でも同じ品質を保ち物作りを続けているBROOKSの姿勢には驚かされます。

(写真はバーミンガムの工場で現在も稼働する機械)

工場内には工作機械を修理するための工房まであります

 

B17とその派生ラインナップ

B17シリーズには定番とされるSTANDARDモデルを筆頭に多数のラインナップがあります。

欲しいなと思って調べ始めると多くのラインナップに悩んでしまうかもしれません。

B17 STANDARD 

 100年続くB17サドルの原点、レール部分にはブラックエナメル塗装の処理がされている

B17 SPECIAL

 同じサドルトップ形状でありつつ職人の手作業でレザーの仕上げ処理や銅鋲を打ち込み手間を掛けた拘りのシリーズ、レールも銅メッキ加工がされ経年変化も楽しめる

B17 SOFTENED ( AGED )

 はじめからオイルに馴染ませた革を使用し、馴染み期間を短くすることができることが特徴

B17 CARVED ( IMPERIAL )

 トップに穴あけ加工がされており、座面のしなりをさらに体感することができる

B17 NARROW

 B17をベースに前傾姿勢をとるロードバイクなどを想定した幅狭モデル

FLYER

  B17のサドルトップを使用し、スプリングをレール部分に取り付けることで革のしなりとスプリングの動きの恩恵を同時に受けることができるコンフォートタイプ

代表的な派生モデルだけでもこれだけあります、これ以外にも女性向けに長さを短く設定したモデルや、ナローモデルにも穴あきタイプなどがあります。

それぞれに特徴がありますので、この違いも後ほど書いていこうと思います。

 

素材とその特徴

BROOKSサドル全般に該当することですが、どんな革を使い、特徴があるのか。

まずはそこから調べてみたいと思います。

これはクリッカーと言われる革の型抜き器具でサドルの素材を抜いた状態。

お店に展示してあるので現物をご覧になることも可能です。

しっかりとした厚みのある革から取られており、製品になった時に5~5.5mmほどの厚みを均等に取れるよう原皮から厳選した素材を使い続けています。

BROOKSが使用している原皮はイギリスの牧場で育った牛、もしくはイギリスで生まれベルギーの牧場で育てられた牛から副産物としてでた原皮を元に、タンニン鞣しで加工された革を使用しています。

この鞣しの工程を経ることで「皮から革」へと変化していきます。

そしてBROOKSは色を付ける際に植物性の染料を使って色付をしています。

手間と時間のかかるタンニン鞣しで丁寧に作られた革を元にバーミンガムの工場は今も稼働し続けています。

革の裏側にまで色が染まるのが染料仕上げの特徴、革本来の表情を残し経年変化を楽しめる味わい深さを感じることができる仕上げ方法を採用しています。

昔ながらの植物の渋を使った染色法で革本来の特徴を感じて欲しいという、BROOKS創業当時からの想いが素材にも込められています。

 

※別の色つけ方法で顔料仕上げという物があります、参考にこちらの良さも知っておくと革製品を楽しめると思います。

革の内部にまで染み込ませていく染料と、革の表面に顔料を塗っていくその工程に違いがあります。

本革製品を買ったのに経年変化が起きない、深い傷を負った時に中から原色が見えてきた。というのはこちらの顔料仕上げの特徴です。

逆を言うと原皮の状態を塗面で隠せることからあらゆる素材から加工をしやすく個体ごとの仕上がりのバラつきを少なくすることができます、いつまでもきれいに製品を保ちやすいとも言えます。

様々な製品やメーカーの考えごとにメリット、デメリットがあり選択されているのでしょう。

 

次回はこの革がなぜ貴重なのか、万人に向けてフィットするB17の秘密も探ってみたいと思います。

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